ケア・ハンズだより

謹賀新年    平成29年1月発行(128号)

 本年の干支は酉。終戦の年も酉年でした。

 その終戦の年に生まれた人や団塊世代と呼ばれる人達は、人口増加の先駆けとして、持て囃されてきましたが、高齢化とともに社会問題化とまでされています。介護保険制度では賄えないので「地域の中で助け合い」が必要とされ、戦後っ子のパワーを期待されています。それに伴いケア・ハンズの助け合い活動も、方向をしっかり見据えなければなりません。

 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

                                     代表 中村 清子

置かれた場所で咲きたい?!                                   平成29年3月発行(129号)

 春まだ浅く、けれど日差しは眩しく目に入る候、あちらこちら、出没してくる雑草を抜くのに追われ始めます。下ばかり見ているのに疲れて、背伸びをすると、緋寒桜の蕾がほころび始めていることに気が付きます。
満開を迎えても緋色の花弁は目立たず、いつの間にか、色褪せて散っていきます。我が家の狭い庭の正面にあるにもかかわらず、目に入りにくいのは背景が黒ずんだ瓦屋根のために、くすんだ緋色が目立たないのです。

 『置かれた場所で咲きなさい』カトリック修道女である渡辺和子さんの著書の題名を想いだします。沖縄では、この樹々の下で桜まつりが行なわれているそうです。植える人の都合に振り回される樹木や草花は健気ですね。人の暮らしもまた、社会の制度に振り回されることがあります。しかし、人は意に添わないことに、抵抗することもあります。


 昨年から提唱されている新地域支援事業では、さいたま市の取組みが始まっているのに、成果が目に見えてきません。地域ごとでの助け合い活動が必要となるため、それを担う『有償のボラティア活動』の『担い手』を養成するべく研修会が区単位で開催されました。『担い手』とは、困っていらっしゃる方のお手伝いをなさる方で、ケア・ハンズでは協力会員であり、介護保険制度ではホームヘルパーさんにあたります。

 『担い手養成講座』では、長い間助け合い活動を実践している立場として、ケア・ハンズの活動を紹介する機会をいただいております。講座では、興味をもっていただけるように工夫をしておりますためか、熱心に耳を傾けては下さるのですが、講座を開催する目的の「実際に担い手になる」までは、お気持ちが進まないようです。
 『有償ボランティア活動』に参加することは、今まで気が付かなかったご自分の「得意分野」を発見したり、「社会参加」している充実感を得られたりすることに、気づいていただきたいと願うこの頃です。
ケア・ハンズの協力会員は、どなたも「生き生き」と活動されている、と私は感じております。

                                                        代表  中村清子

「老い支度」あれこれ                        平成29年5月発行(130号)

 新緑の眩しい季節となりました。昨年こぼれた種や、忘れていた球根から出てくる新芽に喜んでいたのもつかの間、雑草が力をつけてくる頃でもあります。

 先日、県立美術館で江戸時代後期に活躍した長崎の絵師・川原慶賀の『日本の植物図譜』の展示を観てきました。

花・葉・茎・果実・根などが、丁寧に風情のある色合いとバランスで描かれています。今では、雑草として抜かれている草花が多く、雑草の概念も時代により変わっていくことに気づきました。

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 我が家でも、初めてドクダミの花を見つけたときには一輪挿しに飾ったり、入浴剤として利用したりしていたのに、今では親の仇とばかりに引き抜いています。

 それでも、芝生の間から抜いても抜いても生えてくる雑草抜きは嫌いでなく、無心になれる大切な時間でした・・・・・・・が、ついに、芝生用の除草剤をまいてしまいました。腕の痛みや、指先のしびれが翌日に残るようになってきたのです。

 今まではどんなに忙しくても頑張ることができ、それが息抜きにもなっていたのに、体は誤魔化すことができません。これも私の「老い支度」と、自分に言い聞かせました。ケア・ハンズでも、雑草取りのご依頼がありますが、人手が足りません。シルバー人材センターでも同様です。

 人の手を頼らない対策をすることは、室内ではもっと早く始める方がよいでしょう。

 4月末日に、住宅リフォーム会社から「高齢者疑似体験」で参加してほしいとのご依頼がありました。浴室・トイレ・キッチンなどが展示されているので、高齢者疑似体験セットを装着して、それらの使い勝手を体験していただきました。高齢にならなくても、病気や怪我で余儀なく不自由な暮らしをすることもあることをご説明すると、どなたも頷かれました。大げさな住宅リフォームでなくても、安心で便利なキッチン用品への交換など、ご自分で選び、使いこなしていくことも老い支度への第一歩と思います。一時的な出費でも、人の手を借りないでできる暮らしは、結果的には節約生活にもなるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

                                              代表 中村清子

有料老人ホームについて学習しました!             平成29年7月発行(131号)

 6月10日のケア・ハンズ総会講演会で「公的・私的老人ホームの違いについて」お話を伺いました。 

 ケア・ハンズの理事からは、公的老人ホームの種類と、介護度や経済状況による入居施設の違いについて、北浦和にある有料老人ホーム支配人からは、宣伝チラシだけではわかり難い費用負担についてご説明を伺いました。 

 ここでは、有料老人ホームの費用負担について簡単に紹介します。 

 有料老人ホームへ入居を検討する際確認すること

 パンフレットに記載されている費用に含まれるサービスと、別途、有料となるサービスに何がある

  のかを確認し、施設内は必ず見学をすること

スタッフの様子は、入居者と接していない時の態度も確認しておくことが望ましい

 「重要事項説明書」の記載内容は、細かい決まり等が記載されているため、必ず確認すること

 料金についての内訳と負担費用の確認を以下に記します

   *一時払いの契約プランと、年払いの契約プランは月払いの家賃負担が違う

   *その他の月払い負担金の確認

   (食費)月額料金になる場合と1食毎の請求となる場合がある。

       刻み食やカロリー制限・アレルギー食等の有無

   (介護費)介護保険サービス費・スタッフの加配置費・外出介助費・その他の自費サービス

       などの確認

  (水道光熱費)自室にメーターがあり自己負担の場合と規定料金の場合がある

   (医療費)施設内の医療機関受診や服薬管理の確認と負担額

   (その他)おむつ等の消耗品代金

   (医療行為の確認)胃ろう・IHV・在宅酸素・鼻孔栄養・人工肛門・気管切開の場合の受け入れ

      確認とその費用

 以上は概略ですので、詳細は各施設でご確認ください。

                                          代表 中村清子 

 

これは物忘れでしょうか?                    平成29年9月発行(132号)

今夏は、天候の変化が激しく、日本各地に大きな災害をもたらしました。やっと秋の気配を感じるようにはなりましたが、皆さま、体調の管理には、油断なされずお気をつかわれますようにお願い致します。

 昨今は、心を痛める事件や事故が多いのですが、認知症の方に関する事故も後をたちません。

 ご自身やご家族の方がもの忘れが多くなると「もしや、認知症では・・・」と不安をお持ちになられるのか、ご相談を受けることも多くなりました。

 認知症の方へのさいたま市の取り組み方などを、5月号3頁でもお知らせしましたが、今回は”認知症による記憶障害”なのか”加齢による物忘れ”なのかを見分ける一つの方法を、認知症サポーター養成講座の標準教材から抜粋しましたので、どうぞ試してみてください。

 また、高齢になると、気力や筋力の低下があるために家事等がスムーズに出来なかったり、見えにくかったり聞こえにくいために会話がスムーズに運ばないなど、様々な不自由が生じることもあるでしょう。その為に認知症と思い込んでしまわれないように、周りの方のご配慮が必要です。

 私などは、「認知症の記憶障害」の項目に該当することもありますし、生来の慌て者のための失敗も多いので、家人やケア・ハンズのスタッフは判断に迷っているかもしれません・・・。

 いずれにしても、心配があれば早めに適切な機関へご相談ください。

                                                  中村 清子

      加齢による物忘れ      認知症の記憶障害
 経験したことが部分的に思い出せない  経験したこと全体を忘れている
目の前の人の名前が思い出せない 目の前の人が誰なのかわからない
物の置き場所を思い出せない事がある 置き忘れ紛失が頻繁になる
何を食べたか思い出せない 食べたことじたいを忘れている
約束をうっかり忘れてしまった 約束したことじたいを忘れている
物覚えが悪くなったように感じる 数分前の記憶が残らない
曜日や日付を間違えることがある 月や季節を間違えることがある

縛りを外してみたら・・・?                      平成29年11月発行(133号)

天候が定まらないままでも、冬の気配を感じるようになりました。

風邪の予防にはご注意いただきたいと思います。

 

高齢者の医療費や介護保険料・介護報酬の値上げに加えて、還付金詐欺被害や自宅でのケガや事故、更には交通事故など高齢者に関する不安で危険なニュースが後をたちません。

その一方では、メディアでは、2~3年前位から自由な暮らし方やおしゃれをしているシニアが取り上げられることが多くなっているようです。銀座は建物が近代化し、通りを歩く外国の観光客も多くなるなど、景観は様変わりしてはいますが、日本のおしゃれな銀髪シニアの女性が颯爽と歩いている姿も増えているように感じます。

 

私は、70代の視覚障がいの方へ外出介助としてご一緒させていただくことがあります。その方は全然見えないので、不安なく歩けるように道の状況を説明してご注意を促しますと、「いちいち余計な事言わないで!」と叱られます。ご自身で車イスを操って、市内はもちろん、代官山や皇居などお出かけになる片側に麻痺のある60代の男性の方とばったり出会いました。そこが坂道でしたので、お手伝いさせていただこうとすると「一人で大丈夫!」と、きっぱりおっしゃいます。 お二人とも、ご自分で出来ないことは援助を受け、そうでない事では、ご自分の力を発揮して、好きな事へは集中したいとおっしゃるのです。

 

このお二人から学ばせていただくことがたくさんあります。私はチャランポランな割には「こうあらねばならない。」と、考える面もあり、つまらない自分流の規則に縛られていたように思います。縛りを少しずつ取っていくと、気持ちがどんどん楽になっていきます。

 

何かに迷った時には、あれこれ周りに気を使わないで、自分の好きな方を選べるようになりたいですね。寒さが厳しくなりますので、ご自愛くださいますように。少し早いですが年末のご挨拶とさせていただきます。  

                                                    中村清子